ダムと六文銭♯72012/08/18 20:42:11

黒部ダムは6月~10月のシーズンは、観光放水が行われている。1分間に約10万トン。霧状にすることで、川を傷つけない配慮がなされている。巻き上げる風とマイナスイオンのおかげで、ダム堰堤は涼しい。日光の加減によっては虹も見える。

瀑布と虹

この美しく壮大な風景には、多くの人の力と命が費やされている。総工費513億円、171人にもおよぶ工事中の殉職者。それでも、当時の右肩上がりの日本経済を支え、電力需要をまかなうため、苦難を乗り越えて完成にこぎ着けた。日本には確実に、司馬遼太郎ではないが、「坂の上の雲」を目指していた時代があったのだなと思った。

ただ、どれほど巨大なシステムでも、人間の力でコントロール可能であることが、昨今の電力会社の目指す道とは違っているのだろうな。一体、この国はどこで道を誤ったのだろうかとも考えてしまった。

名残惜しいが、そろそろ黒部ダムを後にする。今夜の宿はこの山塊の麓にある大町温泉郷。のんびりとしようじゃないか。

好餌殉職者の慰霊の碑