ポテト地獄2012/12/02 00:35:36

子どもたちとファミレスで夕食を食べた。それぞれのメニューとは別に、子どもたちの好きなフライドポテトを注文しようという話になった。
しかし、このファミレスのフライドポテトは「山盛りポテト」という名称で大量に出てきて、残さず食べなきゃと思い、いつも腹が苦しくなる。子どもたちも警戒していて、「山盛りポテト」ならいらないと言う。
おもむろにメニューを開くと、「山盛りポテト」があった。だが、別の「とりあえずおつまみ」みたいなページには「フライドポテト」があった。注文を取りに来たスタッフに、「このフライドポテトは大量じゃあないよね」と確認すると、「はい」と答えたので、「フライドポテト!」と注文した。
料理が出てくるのを待つ間、何気なくメニューを眺めていると、先ほど注文した「フライドポテト」の項目に小さく「(山盛り)」と書いてあるのを発見した。げっ!山盛り!
しばらくして、ドンッ!とテーブルに置かれたのは、例の「山盛りポテト」だった。案の定、腹が苦しくなった。

正統な言葉2012/12/02 16:44:55

広告のコピーライターを生業としているのだが、実際に広告案を考える打合せで良くあるのが、「○○維新」というコピーアイデア。
維新という言葉の意味は「すべてが改まって新しくなること」なので、新製品だとか、企業の新しい展開だとかに使うのに非常に便利な言葉だ。
また、企業経営者の方が、織田信長と並んで大好きな坂本龍馬のイメージもあり、まず打合せの俎上には必ず出てくる。

A「○○維新ってどう?」
B「ありですよね」
C「うん、ありあり」
D「いいんじゃない」
てな感じ。しかし、もう少し議論を重ねていくと

B「○○維新ってありがちですよね」
C「うん、ありがちありがち」
D「よくあるパターンだよね」
A「やっぱり?」
となってきて、結局は

B「なんか、言葉づらはかっこいいんだけど…」
C「でも、中身を言えてるかっていうと…」
D「…あんまり、ねえ」
A「長州力の維新軍団はかっこよかったぞ」
C「古っ!」
B「自分たちで維新って言う奴も、ねえ。おこがましいって言うか…」
A「何を言う!長州力だぞ!」
B「いや、長州力は今関係ないし」
(以下、喧々囂々)
となって大抵は採用されない。そんな広告業界のひとコマ。

なめこ騒動記2012/12/03 22:15:31

なめこ冬バージョン
もうサンタさんを信じていない息子のクリスマスプレゼントは「なめこ」だ。今人気のアプリ「おさわり探偵 なめこ栽培キット」のキャラクターグッズが希望なのだと。そんなものすぐに飽きるし、人気もなくなるだろうと思うのだが、小学生男子は譲らない。
丁度タイミング良く、全国を巡回しているキャラクターグッズショップ「なめこ市場」が名古屋の松阪屋に期間限定でやってくるという。目を輝かせる息子。かくして師走のクリスマス商戦がスタートした日曜日の繁華街の百貨店へと出陣することになった。混雑した場所が嫌いなわが家にしては珍しい。
朝9時45分くらいに百貨店に着くと、すでに入口付近に人が並んでいる。「特設お歳暮コーナー」と「全国うまいもの市」と「なめこ市場」が同じ7階の催事フロアで開催中なのだ。大半は、前日テレビ番組でも特集されていた「全国うまいもの市」目当ての客だろう。なんでも名古屋初出店の食い物が目白押しらしい。
10:00に開店すると順番にエレベーターへと誘導される。だが、後ろから押したり、先を争って乗ろうとする大人がたくさん。まったく嫌になる。そんなに、うまいものが食いたいのか。まるで餓鬼道である。
7階でエレベーターを降りると目の前が「なめこ市場」。客足はそれほど多くない。大半の客は、そこから走って「うまいもの市」へと急ぐ。
息子のお目当ては、1.なめこのぬいぐるみ 2.なめこの全国ご当地ストラップ 3.なめこのフィギュアだ。まずぬいぐるみコーナーを見る息子。妻と娘は全国のご当地キャラに扮したなめこのストラップコーナーを見ている。
実は、わが家はある程度の混雑を予想し、「なめこ市場」にいちばん近い入口から入ったのだ。約3分後、正面口から入って「なめこ市場」にたどり着いた客がなだれ込んでくる。特に小学生男子のグループは、遠慮会釈なしに走って、飛び込んでくる。その後から親や大人も駆け込んでくる。あっという間にフロアは立錐の余地もないありさま。手当たり次第に商品をカゴに入れる客、客、客。妻が慌てて息子に「ご当地ストラップコーナーは狭くて、人がいっぱいになるから先に見なさい」とうながす。娘は妻に頼まれストラップコーナーの場所を死守しているようだが、嵐のような人の波に押され、腕だけしか残っていない状態。オイラは「もう、ダメだ。撤退する」と言って店先を離れる。しばらくして娘が息も絶え絶えで出てきた。「なんなのこれは!」。あまりの人の多さに呆然とするオイラと娘。
そのうち、スタッフ長のような人がやって来る。しかし、客の多さに中には入れない。「…まずいな」そうつぶやくと近くにいたスタッフ数名を呼び、「入場制限」という話をしている。入場制限がかかるとゆっくりと品選びもできまい。そのことを中にいる妻と息子に伝えようと思い、人混みの突破を図るが、はじかれて進めない。娘が「あたしが行ってくる!」と言うや、突っ込んでいく。「娘〜!大丈夫か〜!」と叫ぶオイラ。
しばらくして、髪を振り乱し娘が戻ってくる。妻と息子はなんとかレジに取りついたらしい。
ようやく妻と息子が出てくる。にんまり笑顔の息子の手には、大きな袋にいっぱいのなめこグッズ。妻が言う「あまりの人の多さで、もう何が何だかわからなくて、値段もよくわからなくて、考えるヒマもなくて、息子の言うままにカゴに放り込んだら結局7,000円にもなっちゃった」。何と、なめこ相手に7,000円!かくして勝利を収めたのは息子ばかりのなめこ合戦となった。
しかし帰宅後、7,000円の内いくらかは自分の小遣いから出すことをわが家の大将軍である妻に約束させられていた息子であった。

中村屋!2012/12/05 21:52:20


名古屋平成中村座
十八代目中村勘三郎死去のニュースに茫然である。歌舞伎のチケットは高額なもので、そう頻繁に観劇できたわけではないが、それでも勘三郎の舞台はどうしても観たいと思わせるものだった。DVDやテレビ中継でも勘三郎が出るとなると楽しみに観た。年下のオイラが言うのも妙なのだが、実に可愛げのある役者だった。
十八代目の襲名披露を名古屋御園座で観たのが平成17年10月。演目は「青砥稿花紅彩画」。少し甲高い調子で喋る弁天小僧菊之助の名台詞は今も印象深い。
また平成21年9月に名古屋城で観た平成中村座「隅田川続俤 法界坊」も忘れられない。江戸時代の芝居小屋の熱気も斯くや、そして現代のエンターテインメントとして十分に楽しめる舞台は見事だった。登場時の滑稽さから、悪へと変化し、怨霊の悲しみまで、その演技の幅と華やかさに、カーテンコールは小屋が揺れるほどの熱狂だった。
単に歌舞伎に留まらない役者として、野田秀樹や藤山直美との共演などは、演劇ファンとして実にワクワクさせられた。大河ドラマの「元禄繚乱」大石内蔵助役も大好きだった。オイラにとって「好きな」役者だったのだなと改めて思う。「上手い」役者や「観たい」役者や「いい」役者は色々いるけれど、「好きな」役者はと聞かれると、一番に思い浮かぶのが十八代目中村勘三郎だ。もう記録の中でしか観られないかと思うと、とてつもなく悲しい。一度でいいから勇気を出して「中村屋!」と掛け声をかけておけば良かった。

今年の10大ニュース2012/12/25 12:03:49

毎年わが家ではその年の10大ニュースを決めている。印象に残った出来事をピックアップし、発表するのだ。旅行などのイベントが上位になるが、年末直近に起こった出来事は記憶が新しく、意外と上位に食い込んでくる。今でもわが家の伝説になっている『ダブル・ブリーフ事件』なども晩秋の出来事だった。
2012年10大ニュースのトップには、春の大阪旅行や夏の黒部ダムツアーを抑えて、『奈良たこやきミサイル事件』が選ばれた。
事件は12月初旬に家族で行った日帰り奈良観光で起こった。東大寺の見学を終えて、少々小腹が空いたわが家。参道の露店で10個入りのたこ焼きを購入した。家族4人なので1人2個づつ。残りはジャンケンだ。
しかし、このたこ焼き、とてつもなくアツアツ。しかも、間の悪いことにお茶も水も丁度きれていた。熱い食べ物には必ず勝負を挑み、勝ち負けを重視する息子は、ハフハフ言いながらたこ焼きと格闘中。娘は賢く爪楊枝で少しずつ削って食べている。以前に熱いたこ焼きを丸呑みして食道を火傷。胃カメラを飲んだ妻は冷えるまで待っている。オイラはもうよかろうとひとつ目を口に放り込んだのだが、これがまだ熱くて熱くて、喉を通すことができない。半分ほどを口から出し入れし、外気に触れさせながらハフハフ冷やしていると、息子が何か笑かすようなことを言った。
その瞬間、ハフハフしながら笑ったためか、口から出し入れしていたたこ焼きが、ブホッと音を立てて発射された。まるでミサイルのように飛んだたこ焼きは妻の靴のすぐ横の地面に落下。
発射から落下まで一部始終を目にした娘は大笑い。妻は「ゼッタイあたしを狙った」と言いがかり。息子は自分が熱くて涙目のまま「ミサイル!ミサイル!」と大喜び。まわりの観光客が「何事か!?」と訝るぐらいに大笑いのわが家。これがいわゆる『奈良たこやきミサイル事件』だ。
ちなみに、残り2個のたこ焼きはジャンケンで勝った娘と息子が食べ、結果、オイラは1個だけしか口にすることができなかった。
奈良東大寺風景