ドライブ・マイ・カー2023/05/09 15:38:34

カメラはじっと固定されたままだ。人物の表情のわずかな揺らぎを逃すまいとするかのように。極論すれば、語る言葉は何だっていいのだ。それが本音でも、本音でなくても。本音なんて、自分でもわからないのだから。だからこの映画は、村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」他2編を原作にしていながら、実はチェーホフの「ワーニャ伯父さん」であっても何ら問題がない。ただじっとカメラは、人の表情の揺らぎを、気持ちの揺らぎを待っている。だからこその「ゴドーを待ちながら」の2時間59分なのか。