(音)Coyote/佐野元春2007/06/18 12:56:11

コンピュータ音源やハードディスクレコーディングが
隆盛を極める今という時代に、良くも悪くも
アナログな薫りが漂う作品。
過去のロックンロールアルバムを思わせる
ザラザラとした触感。
けしてきれいな声、耳障りの良いサウンドではない。
とても堅い。ハードエッジ。
この堅さは、噛めば噛むほど味が出るのだろうが
その堅さは敬遠される。
そして、売れない。正確に言うと、買われない。
この作品は、かつてのロック少年・少女たちへの
エールだと思うのだが、そういう層は
音楽やCDから遠ざかって久しい。
一方、音楽を携帯端末で聴くような若者たちには
エッジが強すぎて、心地よい音楽ではないだろう。
とんがることが若者のアイデンティティでは
なくなってしまった。
佐野自身はヤンガーな世代に向けての
アルバムだと言っているが
かつてヤンガーだった世代にこそ
今という現状に対して、とんがることのワクワク感を
思い出して欲しいと願っているのではないだろうか。
流されてりゃ楽な時代に(もはや危険水域?)
とんがるって大事なことだと思う。