「ファミリーヒストリー」第二回2021/05/10 12:49:41

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あの柳田國男が会いに来たほどの伝説のマタギ、それが母方の曾祖父、前島吉之助、という話を確かめるためwebで検索をしてみた。すると、それらしき人物がヒットした。
国際日本文化研究センター(文部科学省所管)の「怪異・妖怪伝承データベース」というサイトに前島吉之助の名を発見したのだ。このサイトは、地域に残る怪異や妖怪の目撃談が書かれた文献や研究書、記事のデータベースのようだ。
前島吉之助の名があるのは、昭和26年発行の「あしなか(山村民俗の会編)」という会報誌に書かれた『遠山綺談の天狗と山男』(執筆者/向山雅重)。サイトに記載されたデータからは、前島吉之助が話し手として、向山雅重という執筆者に、怪異・山男の逸話を語っていると読み取れる。
遠山とは遠山郷のことだろう。現在は長野県飯田市に属しているが、南アルプスに連なる急峻な山に囲まれた谷間にある。信州三大秘境に数えられ、南朝の宗良親王の宮があった伝説や大鹿歌舞伎、遠山の霜月祭りなど民俗学的に貴重な遺産を今も伝える。日本のチロルと呼ばれる下栗の里があるのもこの地域だ。
遠山郷の上村 程野地区は母方の一族の故地である。もちろん猟師である前島吉之助も在住していた地だ。直系の惣領家の屋敷地が今も残る。データベースに記載されている前島吉之助は、やはり、あの前島吉之助か。
前島吉之助が語った内容とは、「鉄砲名人のある猟師が、山の中で転がってきた大きな石の後ろから巨大な山男が現れたので鉄砲で撃った。しかし、山男が命請いをしたので見逃してやったが、猟師は帰宅後二ヶ月ほど寝込んでしまった」という伝聞だった。
長兄叔父が語っていた、民俗学者が前島吉之助に話を聞きに来た逸話とも符合する。しかし、そこでは、話を聞きに来たのは柳田國男だったはずだが…
(つづく)
oosika

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